龍村光峯の錦織作品紹介

代表作一覧

代表作
九州大学医学部創立百年記念、百年講堂緞帳「彩綴海松顕微の図」

九州大学医学部創立百年記念、百年講堂緞帳「彩綴海松顕微の図」
九州大学医学部創立百年記念、百年講堂緞帳「彩綴海松顕微の図」

九州大学医学部 創立百周年記念 百年講堂

彩綴海松顕微の図(あやつづれかいしょうけんびのず)

  ・・・・海辺の松が彩りのなかに微かに顕われること

 

 九州大学医学部百年講堂の緞帳は、百周年を記念し、大講堂の「華」となるべきものである。

 医学部のある現在地は、かつて美しい松林があったと聞いている。現在、豊臣秀吉が戦陣に在って、ひとときのやすらぎに千利休、神谷宗堪を招いて茶を喫した、野立の場がある。釜を松の木に掛けて湯を沸したという伝説(いいつたえ)から、「釜掛の松」と呼ばれている。この松が、今でも構内の一角に遺されている。

 本緞帳のイメージは、先ずこの歴史的風景を踏まえることから想を起した。さらに新しく建てられる新医学部の建築は、逆に最先端の医療設備を整えたものである。

 現代の最先端医学では、遺伝子治療をはじめ、ナノレベルで、細胞等の姿が電子顕微鏡で実見することが出来ることに多くを負っている。そこで、我国の伝統文化にある、いわゆる「見立て」の考え方を応用し、幾つかの電子顕微鏡写真の中から、主に「神経髄鞘の切片」を、ある箇所では砂紋に、またある箇所では海の波や水の流れなどに、また卵管の「繊毛」を草に見立て、「釜掛の松」の松の古絵図から松葉の形を採り出して、松林を象徴させた。

 これらの有機物、生命体の電子顕微鏡写真は、そのままではグロテスクな印象があり、模様にはなりにくいので、かなりのアレンジがなされている。左上の部分の、草に見立てた「繊毛」や、全体的には、「砂紋」の部分、「海の波」に見える部分、川の流れに見える部分に「神経髄鞘の切片」の顕微鏡写真がアレンジされた紋様で構成されている。上記以外では、随所に網膜の顕微鏡写真も、点描的な砂子に周囲を囲まれた流線で表現されている。

 この地の歴史的風景と、最先端の技術がもたらし、それに触発されたデザインが融合されて、芸術と科学技術の融合という、21世紀の未来に向かってのあるべき姿を色鮮やかに、明るいイメージで呈示しました。

 

龍 村 光 峯

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